• 論文発表:ボロンを活用した耐食性に優れた合金溶射皮膜

    黒田が倉敷ボーリング機工の曽研究員と開発したボロンを合金に添加することによって大気プラズマ溶射中の酸化を抑制する技術をさらに発展させた論文が西安交通大学から国際共同研究の形で発表されました。西安交通大学の李長久教授は大阪大学で学位取得後、出身の西安交通大学で溶射研究の強力な研究グループを長年率いています。彼らはプラズマ溶射時に溶射粒子の温度を融点以上に過熱することで、酸化抑制と皮膜形成時の溶射粒子間の結合を改善する方法を見出し、緻密性に優れた合金の形成に成功しました。従来の大気中のプラズマ溶射では後熱処理しなければ緻密膜は形成できないという概念を覆す成果と言えます。

    https://doi.org/10.1016/j.jmst.2025.09.069
  • 溶射管理士講習会でセラミック溶射について講義

    「溶射管理士」は「溶射技能士」と協調してJISに規定する品質を持つ溶射製品が生産できる者、溶射製品の生産を管理し、信頼できる製品を作るための責任者です。溶射学会は 「防食溶射」,「セラミック溶射」,「金属溶射」,「サーメット溶射」の4種目毎に「溶射管理士」を資格認定しています。8月22日(金)午前10時から午後5時まで、休憩をはさみつつセラミック溶射の3科目(セラミックスの特性と応用事例、材料と溶射法、セラミック皮膜試験法)について合計6時間の講義を行いました。講義においては、単に言葉による説明だけでなく、できるだけ実際のデータやビデオを用いて分かりやすく具体的な説明を心掛けました。参加された約40名の受講者には溶射業界の将来を担う若手や女性も多く、今後の活躍が期待されます。

    溶射管理士に興味がある方は、溶射学会HPをご覧ください。 溶射管理士

  • SSSD WorkshopでWarm Sprayについて招待講演

    6月10日、ホノルル市のハワイ大学で開催された固相粒子堆積法に関する会議 "Solid State Spray Deposition Workshop"でWarm Sprayについて招待講演しました。本Workshopはアラバマ大学のLuke Brewer教授と産総研の篠田健太郎博士が中心となってオーガナイズしたものです。議題はコールドスプレーとエアロゾルデポジションで、米国、日本、台湾、オーストラリアなどから約20名の研究者が参加しました。Warm Spray は黒田が物質・材料研究機構(NIMS)在職中に川喜多仁、渡邊誠博士らと開発した成膜法で、HVOF溶射とコールドスプレーの中間的な温度領域で、粉末材料を適度に加熱・軟化した状態で基材に吹き付けて緻密性の高い皮膜を得ることを特徴としています。本WSでは、粉末材料、プロセスの基礎現象、皮膜の組織と特性、信頼性向上と規格化のための課題などについて、3日間充実した発表と議論が行われました。

  • NY州立大学の溶射コンソーシアムで講演

    6月4日、米国NY州立大学のSanjay Sampath教授が主宰する溶射コンソーシアム(Center for Thermal Spray Research)で溶射皮膜の残留応力発生過程について招待講演を行いました。黒田は1980年代に基材の曲率をその場測定する装置を開発し、急冷応力など溶射皮膜の残留応力の発生メカニズムを解明しました。Sampath教授らはその概念を発展させてICP(In-situ Coating Property Sensor)としてReliacoat Technology社から商品化しています。今回、Bridging Generationsというテーマで、溶射分野の基礎となっているプラズマジェットとプラズマ溶射装置、溶射粒子の計測装置、単一粒子の衝突現象、皮膜堆積現象、皮膜の特性評価、TBC/EBCといったテーマごとに、ベテランと若手が登場して当該分野の歴史と発展状況を俯瞰的に議論する2.5日間の会議でした。コンソーシアムはメンバー制ですが、Sampath教授は記録した講演をネットで公開する予定です。